
吸収・除去系カーボンクレジットとは、森林などの自然資源を活用した取組による
CO2等の吸収・除去量を国や企業等の間で取引できるよう認証したものです。
東京は、多摩・島しょ地域を中心に豊富な自然資源を有するほか
優れた技術やアイデアを持つスタートアップが数多く集まっており、
農林水産分野における吸収・除去系カーボンクレジット創出のポテンシャルを秘めています。
お知らせ
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2025年8月8日採択スタートアップと実証事業の紹介を掲載しました。
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2025年6月25日令和7年度の募集は締め切りました。
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2025年6月9日公募説明会の録画を公開しました。
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2025年5月29日令和7年度の公募内容を掲載しました。
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2025年5月8日中間報告会の発表資料・アーカイブ動画を掲載しました。
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2025年4月3日中間報告会の現地参加を締め切りました。オンライン参加は引き続き受付中です。
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2025年3月19日中間報告会の開催案内を掲載しました。
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2025年1月9日採択スタートアップ及び実証事業の内容の紹介を掲載しました。
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2024年8月9日採択スタートアップが決定しました。今後、各社の詳細情報を更新予定です。
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2024年7月5日本事業の募集は締め切りました。
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2024年6月27日よくある質問を追加しました。
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2024年6月20日事業説明会の動画を公開しました。
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2024年6月10日公募を開始しました。
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2024年6月10日ウェブサイトを開設しました。

吸収・除去系カーボンクレジット創出の
起爆剤となるスタートアップを支援します
「ゼロエミッション東京」の実現に向けては、CO2の排出削減の取組に加え、大気中のCO2を吸収し、除去する取組も不可欠です。
「吸収・除去系カーボンクレジット創出促進事業」は、革新的な技術やアイデアを持つスタートアップと連携し、都の自然資源を活用した実証事業を通じて、農林水産分野における吸収・除去系カーボンクレジットの創出モデルを東京から作り出すことを目的としています。
本事業について
実施スキーム
農林水産分野におけるCO2の吸収・除去に関する優れたアイデアや技術等を有するスタートアップを公募・選定し、都内での吸収・除去系カーボンクレジットの創出に向けた実証事業に対して、事業に係る経費の負担や、運営事務局による伴走支援を実施します。

支援内容

協定金の支払い
採択スタートアップに対して最大4,000万円を支払います。
なお、協定金の支払い上限は、初年度1,500万円、翌年度2,500万円とします。

実装事業の伴走支援
採択スタートアップは、それぞれのニーズに応じて、伴走コンサルタントの支援を受けることができます。詳細は採択後、採択スタートアップと協議のうえ決定します。
事業スケジュール
本事業は2か年事業としての実施を予定しています。
※令和7年度に開始する事業のスケジュール例は以下のとおりです。

実証事業の準備:令和7年8月上旬~下旬(予定)
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採択スタートアップは、本事業の目的が効果的に達成できるよう、「実施計画書」 を作成します。
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実証事業に係る必要な機材やシステム等の手配、協力企業等との調整を行います。準備が整った採択スタートアップから、実証事業を開始します。
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実証事業の準備・実施は、各採択スタートアップのニーズに応じて、運営事務局の助言を得ることができます。詳細は、採択後に採択スタートアップと協議のうえ決定します。
実証事業の実施:令和7年8月下旬~令和8年12月(予定)
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実証事業を実施するとともに、東京都が行う事業成果の広報及びPR (中間報告会等) に参加します。
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運営事務局が進捗を管理、支援するとともに、必要な助言を行います。
実証事業終了後の成果報告・情報発信:令和9年1月~3月(予定)
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事業成果の広報及びPR (最終報告会等) を実施します。
その他
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採択スタートアップは、運営事務局が開催する各種報告会等に参加するほか、本事業の広報活動やPRに積極的に協力するとともに、事業成果を自主的・積極的に広く周知していただきます。(例:ウェブサイトへの情報掲載、参加者による自社プレスリリースの発信、各種イベント等における発表等)
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採択スタートアップは、月一回程度の頻度で、運営事務局に対して実証事業に関する進捗状況の報告を行ってください。報告方法は、書面の提出、会議の実施による報告などの組み合わせを予定しています。
採択企業と実証事業の概要
本事業で採択したスタートアップ企業を紹介します。
令和6年度採択スタートアップ

林業:アイフォレスト株式会社
日本版ボラタリークレジット (JVC) 創出に向けた、森林のCO2吸収量等の可視化実証
アイフォレストは、“人と森のつながりを再構成する”をビジョンに掲げ、テクノロジーの力を活用して衰退する林業の持続可能性を高めることで、日本の豊かな自然、生態環境を守ることを目指す林業テックスタートアップです。
本事業では、東京多摩地域を舞台に、リモートセンシング技術による高精度な森林CO2吸収量算出技術の検証、生物多様性の定量評価モデルの開発から、第三者認証機関、大学研究機関との連携によるJVCの認証、発行、販売までをワンストップで提供するプラットフォームの開発を行い、2025年度中の社会実装を目指します。

水産業:ウミトロン株式会社
東京都島しょ部におけるブルーカーボンクレジット化基盤整備実証
ウミトロンは、水産養殖にテクノロジーを用いて、ミッションである“持続可能な水産養殖を地球に実装する”ことを目指すスタートアップです。養殖業をはじめとした周辺業界と協力し、海洋環境と地域の社会や経済を支えることができる技術提供に取り組んでいます。
本事業では、都内の漁港泊地等に藻場礁を設置し、海藻育成の実地検証を行うとともに、事業終了後のブルーカーボンクレジット化を目指し、クレジット申請に必要なデータ取得やモニタリングを行います。また、人力による現地調査等、従来の方法に代わる、リモートでの調査・モニタリング技術の研究開発・実証を行い、将来的にリモートでブルーカーボンの取組を可能にするための基盤を整備します。
さらに、上記ブルーカーボンの取組を基軸として、クレジット化という直接的な成果だけではなく、地域における経済価値向上も目指し、地元関係者との意見交換を行いながら、地域の実情やニーズに根ざした取組を進めます。

林業:クレアトゥラ株式会社
東京都が保持する森林のオープンデータを活用したクレジット創出の実証
クレアトゥラは、“かけがえのない自然を次世代へ” をミッションとして掲げ、カーボンクレジットというカーボンファイナンススキームの活用・普及を通じて、資金が付きづらい森林保全やサスティナブルな農業を支援し、これらの活動の拡大に取り組んでいます。
本事業では、東京都が保持するオープンデータから、J-クレジットやVCSクレジットの申請に活用できるデータを取得するための解析手法、および上記データを活用したクレジット創出を実証し、負荷の少ないクレジット創出のモデルケースを確立します。これにより、未活用のまま残されている、東京都の森林資源を活用した森林吸収プロジェクトの登録促進および地域経済の活性化を目指します。

バイオ炭と農地貯留 (カーボンファーミング) 由来のクレジット創出を促進するモデルの実証
GreenCarbonは、“生命の力で、地球を救う”をビジョンとして掲げ、温室効果ガス削減に取り組み、持続可能な社会づくりへの貢献を目指すスタートアップです。植物のCO2吸収量を増加させるゲノム編集の研究開発や、農業従事者等に対してカーボンクレジットの創出・登録・販売のサポート等を行っています。
本事業では、都内農地を活用したバイオ炭・カーボンファーミング由来のクレジットの創出を行うだけでなく、創出したクレジットの都内企業等への販売、都内農家への収益還元を行うモデルの実証を行います。これにより、除去系クレジットの創出・活用を促進する事業体系を確立します。

農業:株式会社フェイガー
農業従事者による脱炭素の取組拡大に向けたバイオ炭の農地施用効果の見える化と高機能化の実証
フェイガーは、農業由来カーボンクレジット生成の取組を行っており、バイオ炭の農地施用、中干し延長等による農業従事者への脱炭素の取組支援、およびクレジット化を通じた収益化を行うスタートアップです。
本事業では、各バイオ炭の施用による収量・土壌の変化や肥料削減量等の効果の定量化、バイオ炭の機能性追加による農業の生産性の向上を実証します。これにより、農業従事者が自主的かつ継続的にバイオ炭を施用する取組を拡大するための事業体系を確立します。
令和7年度採択スタートアップ

農業:株式会社 TOWING
高機能バイオ炭”宙炭(そらたん)”を用いたカーボンクレジット創出と消費者向け環境価値の訴求による作物の高付加価値化の検証
TOWINGは、「サステナブルな次世代農業を起点とする超循環社会を実現する」をミッションとし、高機能バイオ炭”宙炭(そらたん)”の普及によって、農地への炭素貯留や化学肥料の削減・有機転換を含むリジェネラティブ(環境再生)農業の実現・拡大に取り組んでいます。
本事業では、東京都内の農地への宙炭の導入・カーボンクレジット発行検証はもとより、都内の青果仲卸事業者とともに、宙炭を導入した農地で生産された作物のブランド化・消費者認知向上に向けた作物販売活動を実施します。宙炭による農地の生産性・収穫量向上のみならず、作物への環境価値の付与・販売価格を向上させることによる、生産者の手取りの向上について検証を行います。宙炭導入によるカーボンの創出・生産者の手取り向上のコベネフィットを実現し、宙炭の継続的な販売と都内でのカーボンの創出量拡大を目指します。

林業:株式会社ステラーグリーン
衛星・AIを活用したモニタリングの高精度・高効率化および森林管理による水循環の改善効果の可視化による高付加価値化の実証
ステラーグリーンは、"眠る自然資源を活かし、人・地域・地球を豊かにする"をビジョンに掲げ、生物多様性を保全しながら、地域の自然資源をテクノロジーを駆使して価値あるものに変えることで、持続可能な仕組みを構築することを目指しています。
本事業では、東京都多摩地域の森林において、衛星データの活用・AI補正による森林クレジットの創出コスト削減と工数短縮を実証するとともに、森林が蓄積する地下水の可視化・モニタリングを通じた森林の多面的機能の評価によるクレジットの高付加価値化を実証します。
さらに、地域の社会・経済への貢献も目指し、対象地域周辺での林業従事者の選定、対象森林における自然体験を通じた教育機会創出を行います。

水産業:株式会社 BLUABLE
日本初のブルーカーボンの深海固定に向けた大規模吸収源創出の実証
BLUABLEは、「藻場の力で、社会と環境を循環させる」をビジョンに掲げ、2024年に富士通のカーブアウトにより設立されたスタートアップ企業です。私たちは、ブルーカーボン創出において課題となる藻場造成コストや、炭素吸収量の計測コストを大幅に削減する技術開発に取り組んでいます。
本事業では、「ブルーカーボンの深海固定」という新しいCO₂吸収・除去手法の社会実装に挑みます。具体的には海藻を活用して大気中のCO₂を吸収し、長期的に炭素を隔離する仕組みを検証します。東京都の採択事業として、東京都島しょ海域周辺を舞台に、海洋による炭素固定、生態系影響まで含めた科学的な分析を実施予定です。このプロジェクトは、海洋研究者、漁業者、自治体、行政との連携のもと、カーボンクレジット制度やESG投資とも結びつけた、次世代の環境価値創出モデルの確立を目指しています。
報告会の概要
令和6年度採択事業 中間報告会の概要
本事業で実証事業に取組んでいるスタートアップ5社による報告会を開催しました。吸収・除去系カーポンクレジット創出の最新動向に関する理解を深めていただくことを目的としています。
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日時:2025年4月21日 (月) 14:00~16:30
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場所:TKP東京駅カンファレンスセンターおよびウェビナー配信
プログラム内容と資料
発表者 | 事業概要 | 資料リンク |
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運営事務局 |
※冒頭説明 (除去クレジットの概要と事業紹介) |
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アイフォレスト株式会社 |
リモートセンシング技術を活用した森林のCO2吸収量の算出、生物多様性の評価モデルの開発、国内VCC認証の取得・販売を行うプラットフォームを開発 |
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クレアトゥラ株式会社 |
オープンデータを活用しアクレジットや海外ボランタリークレジットの申請に必要なデータ取得と解析を行い、効率的なクレジット創出モデルを実証 |
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ウミトロン株式会社 |
東京都内の未利用漁港に導漁礁を設置し、海藻育成の実証を行う。その際、漁礁でのデータ収集・モニタリングの実証実験も実施 |
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Green Carbon株式会社 |
都市農地での農業従事者に対して、バイオ炭やカーボンファーミングによるクレジット創出・販売・収益還元を実証し、除去系クレジットの創出・活用促進モデルを確立 |
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株式会社フェイガー |
バイオ炭の施用による収量・土壌改良効果の定量化、バイオ炭の機能性追加による農業の生産性の向上を企図し、持続的な事業モデルを実証 |
アーカイブ動画
問い合わせ先
以下にお問い合わせください。
吸収・除去系カーボンクレジット創出促進事業 運営事務局
(ボストン コンサルティング グループ合同会社)
メールアドレス: Tokyo_Carbon_Removal@bcg.com